桃の花を溺れるほどに愛してる

「うむ。我は満足じゃ」

「ずいぶんと古風なお姫様なんですね」

「日本らしいでしょ?」

「ええ。まぁ、どんなお姫様であろうと、桃花さんが可愛らしいことに変わりはないですけどね」

「なにそれ」


 ……この光景、第3者から見たら、いちゃいちゃしているカップルみたい。いや、カップルだけどさ。

 んー、でも、別にいいよね。今、のびている榊先輩以外は、他に誰もいないんだし。誰も、見ていないんだし。


「……ねぇ。春人って、どうして私のことを好きになったの?」

「そうですね……。一言で言うなら、一目惚れでしょうか。笑顔が可愛らしい人だなって。打ち解けていくうちに、この人のためなら死んでも構わないって思うようになって……今はどんな桃花さんも好きですけれど。……って、あれ?桃花さん?」

「うー、分かったわよ、バカ!」


 自分で聞いといてアレだけど、さも当たり前だと言わんばかりに、平然とすらすらと言う春人に、身体の体温が急上昇した。

 これは恥ずかしすぎる……。


「……桃花さんは?」

「えっ」

「桃花さんは、どうして僕を好きになってくれたんですか?」


 それ、聞いちゃいますか。

 ……えっと、どうしてってそりゃあ……あれ、どうしてだっけ?