桃の花を溺れるほどに愛してる

 薬品について詳しくないけど、この瓶って消毒液とか……頭痛薬とか、胃薬とかが入っているのかな?

 うへぇ……なんか触るのが怖いし、絶対に触らないようにしよう。

 それより包帯やガーゼは無いのかな……っと。

 棚の引き出しを開けると、視力検査の時に使う、片目だけを覆う目隠しがいっぱい入ってあった。……この病院、眼科としても機能していたのだろうか?

 違う引き出しを開けると、ちゃんとロール嬢に巻かれて仕舞われている包帯が、並んで収納されていた。


「おっ」


 見付けられた嬉しさで、思わず声が漏れる。私は早速、その包帯を手に入れた。

 他の引き出しを開けていくと、手触り抜群の柔らかいガーゼを見付けたので、それも手に入れた。

 残りの引き出しには、怪我の処置に使えそうなものは無いように思えたため、すぐに春人のいる部屋に戻る。


「お待たせ!」


 私が声をかけると、春人はパッと顔をあげて私の方を見た。……犬みたいな目をするな、可愛すぎる。アンタは飼い主に待てをされていた従順な犬かっ!!!


「桃花さん、大丈夫でしたか?!怪我とかしていませんかっ?!僕のために行動してくれているのに、その間に桃花さんの綺麗な肌に怪我でもされていたら僕は……僕は、どんな顔をして桃花さんを見たらいいんですか……っ!」

「大丈夫だから、落ち着いて」


 変に熱くなっている春人をなだめると、包帯とガーゼを持って近寄る。