桃の花を溺れるほどに愛してる

「……大丈夫だとは思うけど……念のため、拘束しておくわね」

「あっ、はい」


 私を拘束していた縄を拾い上げ、榊先輩を剥き出しになっているパイプに縛り付けるようにして拘束した。

 よし、これで万が一目を覚ましても、身動きは取れない……ハズ!

 縄を縛るのって初めてだから、うまく縛れているかが不安だけど。

 そんな不安を打ち消すように、私はすぐに部屋を飛び出し、怪我の処置に使えそうなものがないかを探し出した。

 消毒液とかは……使えなさそう。何年も前のものだろうし、絶対に期限とか切れているだろうな。

 そんなものを使ったら、返って菌が増幅しそうだ。それだけは避けないようにしないとね……。

 包帯とか、ガーゼ辺りが好ましいかな。どこかに落ちていないかな……?

 部屋を出てみても、やっぱり天井や壁……床はボロボロになってしまっていて、各部屋がかつてどんな部屋だったのかは、分からない。

 適当に近くの部屋を覗き込んで、お目当てのものがありそうだったら探索しよう。見るからに床が抜けそうで、危険そうな部屋は入らないように気をつけないとね。

 そうやっていくつかの部屋を覗き込んでいると、大量の薬品らしき瓶が置いてある棚を見付けた。

 部屋の内装も綺麗で、危険はなさそうだし、ちょっと探索してみようかな。

 私は早速、棚に近付いた。