桃の花を溺れるほどに愛してる

 気にしすぎかな?!

 T·Kがイニシャルの子なんて他にもたくさんいるだろうし、私にも当てはまるからといって冷静さを失うのはよくないよね。

 でも、榊先輩が他のT·Kらしき女の子にアタックしているところを見たことがないし、聴いたこともない。

 ここ最近、榊先輩が頻繁に絡んでいた女の子って……私、じゃないの?

 イニシャルも一致するし、私には春人がいるから、榊先輩に振り向く可能性は0%だし……。

 ……えっ。嘘でしょ?榊先輩は私のことを言っているの?

 私のことを言っているという確証はないけど、言っていないという確証もないからなぁ……。

 どっちにしろ、やっぱり、榊先輩にはもう関わらない方がいいのかな……?

 私は春人を校門で待たせていることもあって、バレないようにそそくさとその場を立ち去ったのだった。


「今日も1日、お疲れ様ですっ」


 運転席に座りながら、ふんわりと笑ってそう言う春人に、私の心は癒されたような気がした。いや、断言しよう。癒された。


「春人こそ、いつもありがとう……」


 春人の笑顔にときめき、照れてしまって、声量が小さくなっていく。


「いえいえっ、これくらいは桃花さんを愛する者として当然ですよ!」


 さらりと愛するとか言うなーっ!照れる一方じゃないかっ!