「出会って間もない頃は、“恋愛?なにそれ?おいしいの?”みたいにつんけんとしていたのに、今じゃ天霧さんにメロメロでさぁー」

「めっ、メロメロ……」


 そう見えるのか?私、自分じゃよく分からないんだけど……。


「なんていうか、明るくなったっていうか、可愛くなったよね!」

「はいっ?!」

「今のあんたなら、大勢の男性にモテること間違いなしだよっ」

「……それは遠慮しておくわ」


 京子とそんな会話を続けていると、ふと……京子は首を傾げた。


「どうしたの?」

「いやさ……そういえば、教室に入る前に榊先輩と擦れ違ったんだけどね」


 榊先輩?……なんだろう?嫌な予感しかしない……。


「榊先輩の様子がおかしかったんだよね」


 ……え?


「榊先輩の様子が……おかしい?」

「うん。俯いてブツブツと何か呟いていたの。いつもの榊先輩らしくないっていうか、こんなことを言ったら悪いんだけど、不気味に見えた……っていうか」


 俯いてブツブツと呟く?

 たしかに、いつも爽やかで笑顔ばかりを振り撒く王子様みたいなイメージがある榊先輩らしくない、かも。

 私に思い当たる節といえば、昨日の昼休みの……私が榊先輩に言っちゃったこと……とか……?