桃の花を溺れるほどに愛してる

 ちゅっ。と、小さく鳴る唇の音に顔を赤面させながらも、私はゆっくりと春人の唇から自分のソレを離した。

 目を完全に開けると、やっぱり驚いたまま固まっている春人の顔があって、私は思わず、笑ってしまう。


「そんなに驚かなくてもいいじゃん……。春人のばか」

「――えっ!ええっ、えええっ?!」

「なっ、なによ?!」

「だっ、だだだ、だって……!桃花さんからき、キッ、キス……!」

「うっ、うるさいわね……!そんなに大きな声で言わなくたって分かるわよっ!この、ばかっ!」


 突然とはいえ、自分のした行動に顔が熱くなってしまう。

 私、一応、“初めて”なんだからね……?!恥ずかしいというか、照れるというか、ううん、やっぱり恥ずかしい……っ!!!

 ちらっと春人の顔を見上げると、どこか宙を見上げながら、手で自分の顔を覆い隠していた。

 その顔は、心なしか赤くなっているような気もして……。

 不覚にも、私の心はときめいた。

 恋人とする初めてのキス、私だけじゃないのかな……?!もしそうなら、嬉しい……かも……。

 不意に、春人が私の方を見る。

 その瞬間、暗闇の中でも分かるくらい、春人の顔はまた一段と赤く染まった。