桃の花を溺れるほどに愛してる

「……」


 何か言ってよ……!

 私、春人がどうしてこんなことをするのかを言ってくれないと、さっぱり分からないじゃない!

 ねぇ、春人ったら……!

 春人……。


「……っ」


 情けないけど、涙が溢れた。

 春人を怒らせちゃったのなら、何が原因で怒らせた?

 それとも、怒る、怒らない以前の問題で、もしかして……私、春人に嫌われちゃった?


 ――“嫌われた”?


 ちょっと前までの私なら、どうということは無かったんだろうけど……今の私なら、痛いほどに分かる。

 春人に、嫌われたくない。好きな人に、嫌われたくない。嫌われるという事情が、こんなにもつらくて、苦しいものだったなんて……。

 嫌だ……嫌だよ……!


「……や、だ……っ」

「……っ?」

「私、嫌われたくない、よ……!わがままかもしれないけど、こんなっ……春人に嫌われたく、ない……っ!」

「!」


 次の瞬間、私は春人に、力強く抱きしめられていた。

 意味が分からず、思わず涙はとまったけど……私は身体を強張らせる。

 私……春人に嫌われたんじゃないの?っていうか、えっ?なに?この状況?どういうことなの?