桃の花を溺れるほどに愛してる

「“いいですよ。大事なお話があります。”……っと。送信っ」


 よし、これでオッケー。明日は学校があるし、今日はもう寝ようかなっ!

 榊先輩にもらった紅茶を飲んだあと、私はベッドの中で眠りについた。


 ――次の日。


「いってきまーす!」


 支度をして家から出ると、家の前に、見慣れた赤い車が停まっていた。

 アレはもしかしなくても……。


「春人?!」

「桃花さん!おはようございますー!今日もいい天気ですねーっ!」

「おはよ……じゃなくって!春人、体調は?!しばらく家でゆっくりとしていなさいって言ったのに……!」

「えっ?ゆっくりしてきましたよ?おかげで僕、復活ですっ♪」


 一晩、ゆっくりしただけで復活とか……こやつ、化け物か。


「本当にもう大丈夫なの?もっとゆっくりしてよかったのに……」

「桃花さんに心配されるなんて……ううっ、僕、もう死んでもいいです……」

「あはは……」


 うん。いつもの春人だ。ということは、本当にもう大丈夫なのかな?


「つらくなったら遠慮なく言ってね。えと、じゃあ……隣、失礼しまーす」


 乗り慣れた助手席のはずなのに、なんかヘンに緊張してしまう。