桃の花を溺れるほどに愛してる

 靴を自分の背中に羽織っていたリュックの中に詰め込む。……これも、見付かったら大変なことになるからね。履いたまま入ると、床に靴跡が残るだろうし。

 ……でも、困ったことになったなぁ。桃花さんの部屋がどこなのか、さっぱり分からないや。

 この家に2階があるということは、少なくとも桃花さんの部屋が2階にあるということは想像が出来るんだけれど……。

 玄関からでも見える階段を上がって、2階に向かった。辺りをキョロキョロと見渡すと、部屋が3つ、ある。

 1つ1つ、確かめていくしかないかなぁ……と軽く目眩がしたけれど、これも桃花さんを守るためだと思い直したら、不思議とつらくはなかった。

 1つ、また1つと確認していくけれど、物置部屋だったりあからさまに桃花さんの部屋じゃない部屋だったり……残るは、1番奥の部屋のみ。

 この部屋も桃花さんの部屋じゃなかったら、1階のどこかにあるということなのかなぁ……。

 おそるおそる、開けてみると――。


「あ」


 ――嬉しくて、思わず小さな声が出た。

 色んな種類のぬいぐるみが置かれた、女の子らしい部屋……間違いない、ここは桃花さんの部屋だ。