桃の花を溺れるほどに愛してる

 そして――僕はこの場所で、誓います。


「僕はこれから先、陰ながら桃花さんのことを支えていきます」


 この広い世界の中で、実際に何度か擦れ違って、「あれ?私たちって前にも会ったね?」なんていう展開になるのは願ったり叶ったり、かな。

 桃花さんが運よく持ち物を落として、僕がそれを拾って知り合っていく――っていう展開もまた、願ったり叶ったり……だな。うん。

 ははは。たぶん、そんなにおいしい展開は0%に近い……だろうなぁ。

 仮にそんな展開になって、話し合うことが出来るのだとしても、それがいつになるかなんて誰にも分からないしね。

 まぁ……いくらでも待つって、決意したばかりなんだけれど。

 ……ん?
 ちょっと待て。

 僕が桃花さんを見守っていない今この時間……どうやって桃花さんのことを支えればいいんだろう?

 桃花さんが今、何をしているのか分からない以上、どう動けばいいのかも分からない……なぁ……。

 桃花さんには僕の存在を知られず、そして僕がずっと桃花さんを見守って支えるために必要なモノは……。


「あっ、カメラ!」

「はーるとくん。何がカメラなんです?」

「っ?!」


 背後から聴こえた声に、僕の身体は驚きのあまりにビクリッと震えた。

 おそるおそる振り返って見ると、1人のナースが立っていた。

 えーっと、この人は確か……最近この病院で働きだした山内さん、だったかな?なかなかの美人さんで優しい人だって、病院の中で噂になっていたような気がする。