「アンタさ、名前はなんていうの?私は桃花。神代桃花っていうんだ」

「……と、桃花、さん」

「ちょっ!明らかにアンタの方が年上なのに、“さん”なんてつけて呼ばないでよ~!……って、年上のアンタにタメ語で話している私もどうなの?っていう話だけどね」

「はは……。あっ、僕は天霧春人です。ちなみに高校3年生です」

「ほら!やっぱりアンタの方が年上じゃないの!あっ、私は中学1年生ね」


 初対面だというのに、僕らはいとも簡単に溶け込むことが出来た。

 今まで最悪だと思っていた学生時代に、初めて花が咲いたようだった。


「ねねっ、春人はどうして死のうと思ったの?私でよければ相談に乗るよ?」


 そう聞かれて、僕は桃花さんに今まで起こった出来事を話した。

 それを全部聞いたのち、桃花さんは言う。


「その感情が“嫌い”だろうと“憎い”だろうと、無関心に比べたら何かしら思われるだけいいと思うよ?」

「え?」

「私は……無関心どころか、相手は私のことをまったく知らないからさ……。こんなことを言ったらアンタに失礼かもしれないけど、私は何かしら思われているアンタが羨ましい」

「桃花さん……」


 悲しそうな表情を浮かべる桃花さんに、僕はなんて言ったらいいのか分からなくて、思わず口をつぐんでしまった。