恋に焦がれて恋をして

鯉は恋した青い空

見ているだけで

良かったのに

見ているだけで

良かったのに

鯉は池から飛び出した

初めて泳ぐ青い空

鯉は嬉しく跳ね上がる

鯉は恋に夢中になって

青い空に身を委ね

鯉は泳ぐスイスイと

けれど所詮

鯉は鯉

空は鯉には苦しくて

恋は時に苦しくて

元居た池に飛び込んだ

鯉は少し泣いたけど

涙は池の水となり

また鯉を潤した

鯉がふっと見上げると

そこには綺麗な青い空

鯉は空が滲むのは

きっと水面(みなも)が揺れるから

遠くの空を見つめては

水面が揺れて滲んでゆく

鯉は恋する青い空に

淡い思いと切なさを

胸に抱えて池の中

狭い狭い池の中

鯉は泳ぐいつかまた

恋をしようと

泡吹いた

泡は

ぱちんっ

と水面で

弾けてどこかへ消えてった