あの頃 まだ コンタクトレンズを買ってもらえなくて 眼鏡が苦手で ぼやけた世界にいた あの頃 そんな世界では 視覚の他の感覚が優れてゆく 世界を知るために私は 雰囲気と仕草と声で 人を判別するようになった その感覚は 明瞭な世界を手に入れてから 徐々に消えてゆき 今は すでに 視覚に頼っている けれど