あの頃

まだ

コンタクトレンズを買ってもらえなくて

眼鏡が苦手で

ぼやけた世界にいた

あの頃


そんな世界では

視覚の他の感覚が優れてゆく


世界を知るために私は

雰囲気と仕草と声で

人を判別するようになった


その感覚は

明瞭な世界を手に入れてから

徐々に消えてゆき


今は

すでに

視覚に頼っている



けれど