「騒がない女子なんて、そこらじゅうにいるでしょ」 「いねぇから、お前に頼んでるんだよ」 え、本当にいないの?――この学校にイケメンあんまいないってことかな?? 「まぁ、いいけど。深入りはしないでね?」 「しねーよ。んなもん」 「じゃあ、よろしく。偽の彼氏さん」 よいこらせ、と立ち、私は葉上に手を差し出す。 ――握手というものを、しようと思った。 互に手を握る「握手」を、したかったんだ。初めての握手。 まぁ、その相手が葉上ってことが残念だけど。