「わぁ…!綺麗……」 海に着き、私は涼しい風にそよぐ髪を手でおさえながら海を眺めた。 ひと粒ひと粒の雫が、光に照らされて輝いて見える。 これが海なんだ…。 空と同じ色。どこまでも続く、青。 少し塩っぽい空気。肌寒い風。 「なんで海に行きたい、なんて言ったん?」 砂浜に座る葉上が、私に聞いた。 「一度でいいから見てみたかったの。 空みたいに果てしなく澄んだ青色の海を」 私、決めてたの。ここにだけは絶対来ようって。 だって、この海、似てるんだもん。 私の幾度となく流した涙に。