「昨日下さったお薬、よく効きました! 熱も下がって今朝までお元気だったのですけど、また熱が出てしまって……そういえば、昨日診てくださった方はどうなさったのですか?」
「体調を崩しててね。代わりに俺がちゃんと薬を持ってきた」
「まあ、そうなのですか! お嬢様の病気が移ってしまったのではないといいですけど」
そう言いながらローサは部屋の扉を開き、アベルを中へ招き入れた。
ベッドでは相変わらずパフィが熱にうなされていて、苦しそうに眉を寄せている。
アベルがローサに薬を渡すと、ローサはすぐにそれを煎じ、パフィに飲ませた。
パフィはしばらく苦しそうに呼吸をしていたが、やがて顔色もよくなって落ち着いた。
マルセルに様子を見てこいと言われていたアベルは、眠るパフィの顔を覗き込む。
「パフィお嬢さんとディオン様は、あまり似てないんだな」
アベルの言葉に、薬の器を片付けていたローサは、少し困ったような顔をしながらパフィに目を向ける。
「パフィ様は、養女なのです。お母様が亡くなられて孤児となっていたところを、旦那様がお連れになりました。奥様も娘ができたとお喜びになられて」



