「!!」
マルセルの言葉を遮るように、突然奥の部屋の扉が開いた。
ティアナは飛び上がって驚き、扉のほうを凝視している。
マルセルもそちらに目を向けると、そこには腰の曲がった白髪の老婆が杖をついて立っていた。
「そこの子ら。そんなところで話していないで、こちらへおいで」
老婆はしわがれた声でそう言い、2人に手招きをする。
マルセルは老婆をじっと見てから、ティアナを抱えて老婆のもとへ向かった。
部屋の中に入ると、簡素なベッドがひとつと、木の椅子が一脚置いてあった。
老婆はベッドに腰かけると、マルセルに椅子に座るように促した。
マルセルは黙って座りながら、ティアナを肩の上に乗せる。
「さてさて。お前さんたちの正体は、ここへ来たときからわかっていたよ」
老婆がにっと笑い、マルセルは肩の上のティアナがびくっと跳ねたのを感じた。
「わしは普通の人には使えない力を使える。ヘレンもな」
「あなたはリュイさん?」
ティアナが恐る恐る尋ねると、返事の代わりにまたしても彼女はにっと笑った。
よく見ると、歯がいくつかないようだ。
リュイは杖の先をぐっと2人に近づけて、片目を瞑ってみせる。



