その夜、ティアナは約束どおりヘレンのところへ行くために、寝たふりをして皆が寝静まるのを待っていた。
小さな寝息があちこちから聞こえはじめ、そろそろ頃合いかと思っていると、隣でティアナを隠すように寝ていたマルセルが静かに体を起こした。
そしてそのまま、物音を立てないようにして小屋から外へと出て行く。
「……」
ティアナはマルセルが出ていくのを毛布の中から黙って見つめていた。
一緒に旅を始めてから、彼が毎夜どこかへ姿を消すことにティアナは気づいていた。
小さな体ではあとをつけることもできないし、尋ねることもなんだか気兼ねしてできないまま、気づかないふりをしていた。
(きっと、夜にしか見つけられない薬草を採りに行ってるのよ)
ティアナはそう自分に言い聞かせ、ヘレンのもとへ行くために毛布から抜け出した。



