籠の中のプリンセス ~呪われた指輪と麗しの薬師~



早速カーテンの裏側で着替えると、二人の前に出てスカートの端をつまんでお辞儀をしてみせた。


「どうかしら?」


マルセルが目を細めてティアナを見た。


「似合ってる」


「そう? 本当に?」


ティアナはぱっと顔を輝かせた。


初めて着たドレス以外の服に、ティアナは心躍らせ、部屋中を動き回った。


マルセルが水差しを持ってきて、小さな鉢植えに水をやっている。


アベルの薬を作るために欠かせない薬草なのだそうだが、種を蒔いたのは昨夜なのにもう芽が出ている。

成長の早い種なのだろうか。


「これからどうするの?」


「その指輪の宝石を探しださなきゃならない。ひとつはアベルの腕にくっついてるからいいとして、残り2つ……さて、どこにあるんだろうね」


「これ、いつになったら外れるんだよ?」


「アベルの体調が良くなったらはずせるだろうけど……ちゃんとしたことは国に戻らないとわからないわ」


アベルは当分先のようだな、とため息をついて壁に寄りかかった。