「会えなくは……ならないけど」


そう言いながら、彼は足元の白い花を数本摘む。


「どういうこと?」


意味がわからなくて、マルセルの動きを目で追いながら首を傾げる。


「君は長年この庭園に守られてきたね。魔力を抑えて、他の人に気づかれないように。だからここを出たとき、その反動で体が小さくなった。そしてティアナが自分の心を認めたとき、魔力も解放されて体ももとに戻った」


ティアナは黙ったまま、花を弄ぶマルセルの手元を見つめる。

体が小さくなったり大きくなったりしたのは、そんなからくりがあったのだと初めて知った。


「でもティアナはもうこの庭園から出るという。今はまだ、ここにいるから大丈夫だけど、外に出たらどうやってその力を隠すの?」


「あ……」


たとえ他言しなくても、溢れ出す魔力は他の人に気づかれてしまう。

マルセルですら魔力を隠すのに苦労していたのに、ティアナともなれば小細工程度では隠しきれない。


それではせっかく庭園から出てもいいという許しが出たのに意味がないではないか。