ようこそゲストさん
──幼なじみって難しい。
近くて遠くて、届きそうで届かない、そんな存在。
「ゆうちゃ.....優心(ユウシン)くん、」
ゆうちゃん、と呼びそうになって慌てて口をつぐむ。
たった今、信号待ちでたまたま一緒になった彼は、いわゆる幼なじみだ。
長谷川優心。
さらさらの髪、綺麗な二重の瞳、高い背。
彼自身の性格は目立つわけじゃないけれど、整った顔立ちと優しい性格で、校内では有名人だったりする。
「...心結(ミユ)、」
声をかけられるまで私に気付かなかったのだろう。
ちょっと戸惑って目を瞬く優心くんは、何だか可愛かった。
「久しぶり、だよね。元気?」
私は彼に、もう一度近付きたい。
勇気を出して声をあげると、彼はふわりと笑って頷いた。
「心結が元気そうで安心した」
あったかくて優しい、ゆうちゃんの声。
──幼なじみって近くて遠くて難しいけどきっと、また近付ける、よね。