「綾〜。お見舞い来たよ!」
暖房をつけていても、少し寒く感じる午後4時。我が家のリビングに顔を出したのは、学校帰りの陽子だった。
2日ぶりの親友の笑顔に、口元が緩む。
「陽子〜! 会いたかったぁあ!!」
「元気そうじゃねぇ! 2日も休むけん、心配しちょったんに! でもよかった。陸と京も連れて来たけんねっ」
ニコニコと陽子の話を聞いていた笑顔が、一瞬固まる。
京とは、京の家に行ってから少し気まずくなっていたから。
それに気付いて郁子がアピールしまくって……姑息だなんて思ったり……。
「やっぱり連れて来ないほうが良かったかや? 帰ろうか?」
陽子にも京と気まずくなってたのがバレてたみたい。
「ううん、大丈夫だよっ。外寒いでしょ? 上がってもらって」
陽子は心配そうに頷きながらも、足早に玄関に向かった。
「さっみー! うおっ! あったけぇーっ!」
京……面白い……。
リビングでひとり、クスクスと笑ってしまった。
気まずくても、やっぱり京が好きなのは変わらないよ。