仲いい人は舞だけってわけじゃないから、そこまで寂しい冬休みは過ごさずにすんだ。

 でも、約束していた初詣もすっぽかして、稲葉みたいに電話にもメールにも反応がないのはあまりにも気がかりだった。

 なにか、怒らせることでもしたんだろうか……

 怖くて、直接家を訪ねたり会いに行く事が出来なかった。

 私のメールを無視する稲葉の気持ちが少しだけ分かった。

 そして、明日が始業式だという晩に、そのメールが届いた。

 差出人は期待した舞じゃなくって香坂さんで、そのメールの内容に私は打ちのめされる。


『舞ちゃんが転校する前に、みんなでなにか思い出になるようなものをプレゼントしたいなって思うんだけど、なにがいいかな? それにしても、急な転校でビックリしたよね』


 舞が、転校……? 初耳だった。


 聞いてない。

 そんな話、聞いてない。

 どうして香坂さんが知っていて、私はなにも知らないの?

 舞の、一番の友達だと思っていたのに……

 友情なんて、薄情なものだ。

 私が一方的に、舞に恋しているだけなんだから。

 涙が、止まらなかった。