「夢を追いかけるのはいいものだぞ。お父さんとお母さんも自分の夢を追いかけて今があるんだ」


「へぇ」


怜美の関心はすぐにそれて、食パンの最後の一口を食べると席を立った。


「もう行くのかい?」


時刻はまた8時になっていない。


話の途中だったこともあって父親は目を見張る。


「うん。今日は日直だから忙しいの」


本当は日直ではなかったけれど、怜美はそう答えて忙しそうにランドセルを背負った。


「じゃ、行ってきます」


「気をつけてね」


母親の声を背中に聞いて怜美は学校までの道のりを歩き出したのだった。