そしておもいっきり足を踏まれた。


ガッ…!と、運動靴だからか底が固く出来ていて。

ちょうど甲の骨ばった部分へと食い込んだ。



「どうせならもっとボロボロになれば?」



踞(うずくま)るわたしの耳元、クスッと笑う2年生の先輩。


安心して、もうボロボロだから。

見た目も心も。

あなた達が思ってるより冷淡ロボットはどうやら脆い構造になっていたらしい。


…断られたことにこんなにも傷付いてる。



「うわっ、なにあれキモ」


「あれがB組アンカー?並んで走りたくないんですけど~」


「きゃはははっ、ある意味目立てるじゃん!」



わたしを見たリレー女子が騒ぐ先、本部テント近くに先輩は座っていた。

どうせ無様なこの姿を見てさぞかし笑っていることだ。


散々だ……もう。



「位置について……よーい、」



パァン───!!


空高く上がったスターターピストルから微かな煙と響く音が飛び出した。


先輩の作戦どおり、トップバッターもわりと足の速い人。

放送部の実況。
観客である生徒の応援に笑い声。