わたしはただ、着替えをどうしようかと保健室へと向かっていて。


タオルもないからとりあえず小走り。


昼休みだからこそ、どの階に行ったとしても色んな学年の生徒が集まる。

中には中等部の生徒だって。


そんなわたしを後輩も先輩も同学年までもがゴミを見つめる眼差しを向けてきた。



「あっ、」



ドン───ッ!


咄嗟にしりもちをついてしまった。

確かに地面ばっか見て走ってたわたしも悪いけど、こんなに汚いんだから避けてくれたっていい。


…止まりたくなんかなかったのに。



「うわ、アマネ大丈夫ー?汚れてない?」



見上げれば、女子生徒に腕を絡まれる男がわたしを見下ろしている。


思わずふいっと逸らした。


関わったらもっと駄目だ。

やっと今日は隠れて過ごせたのに、まさか自分からぶつかってしまうなんて。



「びしょ濡れじゃん。ドブにでも落ちた?」



だから話しかけないで。

そういうの、本当に迷惑なんですよ先輩。