「おい高槻!ジャージは脱ぐか着るかどっちかにしろ!」


「だって今は暑いけど寒くなるかもでしょ。てか先生、時間いいの?早く説明しないと練習どころか授業終わるよ」


「うっ、そうだな…ゴホン。えー、そういうわけで───」



脱いだジャージを腰に巻いて半袖Tシャツ。

そんな姿すらキャーキャー言われてる。


あれ以来、どうにも先輩はお昼休みになるとわたし1人の時間を邪魔してくるようになって。

お弁当のおかずを必ず2品は奪われる毎日。



「そこ、南も混ぜてやってくれ」


「えぇ~、なんでですかぁー」


「足が速いんだ、いい戦力になるぞ?」



案の定、余り物となったわたしは、先生に半ば無理やりリレーに入れられた。

確かに女子の中では速いほうで、陸上部に誘われたことも幾度かある。


だとしても家の都合上、綺麗に断ったんだけど。



「どうしてあたしらがあんたなんかと…」


「…よろしく」


「最悪」



いつも「冷淡ロボット」と言ってくる女子の横に立つ。