ケータイ小説 野いちご

強制食料制度

次々と流れる涙に男の視界は歪んでいく。


けれど足を止めるワケにもいかず、男は泣きじゃくりながらも走り続けた。


「なんで……なんで俺が……!」


涙と鼻水で見にくくなった男が呟くように声を上げる。


追いかけてくる人の数は先ほどよりも多くなり、今では人数を数えることも困難なほどだった。


それでも男は走った。


走って走って、もう少しで裏路地を抜けると言うところ……。


「ここにいたぞ!」


正面から50代と思われる男が姿を現し、そう叫んだのだ。


男の足は完全に止まり棒立ちになった。

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