「先輩？」


先輩へ近づこうとした瞬間、強い風が吹いた。


砂ほこりを巻き上げ呼吸もできないほどの突風に思わず目を閉じる。


一瞬にして通り過ぎて行った風の後目を開けると……。


尻餅をついた冨部先輩の目の前に、女の子がいた。


女の子はチェンソーを振り上げる。


「そんなもの持って、危ないよ！」


俺は咄嗟にそう声をかけていた、


その瞬間女の子がこちらへ顔を向けた。


その顔は真っ白で、ニタリと笑う口からは真っ赤に染まった歯が見えた。


ゾクリ……。


言い知れぬ不安がよぎった瞬間「椿のように散って死ね」


女の子がそう言い、冨部先輩の首めがけチェンソーを振り下ろしたのだった……。