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昨日の事件の事はすでに全校生徒の耳に入っていた。


自分の通っている学校の生徒が異質な自殺をした。


狭い学校内でそれはまるで強力な感染病のように広がって行った。


だからか、校内へ足を踏み入れた瞬間、いつもと違う雰囲気を肌で感じた。


朝からにぎやかに騒いでいるような生徒たちも、今日は大人しくふざけて笑い合ったりしていない。


まるで、笑う事が罪だとでもいうように校舎内は静かだった。


俺は誰とも会わないまま教室へとついた。


教室内も昨日同様に少し静かだったが、それでも「おはよう」と、声をかけると一応は返事が戻ってきた。


「良真……」


席につくと、風花が不安そうな表情を向けてきた。


きっと、先輩が自殺だったと言う事が風花の耳にも入ったのだろう。


「なに不安そうな顔してんだよ」