「あ、あぁ。俺はいいけど、お前は……」


今話を聞いただけで倒れたことを思い出す。


「俺も気になることがあるんだ」


真剣な表情でそう言う城。


普段おちゃらけている城がこんなに真剣になると言う事は、この事件に関心があるのかもしれない。


「なにがそんなに気になるんだ?」


「三宅先輩と隣町の女子高生の接点についてだ」


「あぁ。そこから犯人像が割り出せるかもしれないもんな」


「違う、犯人なんてどうでもいい」


「は?」


俺はキョトンとして城を見た。


さっきから事件や犯人についての会話しかしていないじゃないか。


「三宅先輩に女の知り合いがいたかもしれない。いや、もしかしたら彼女だったかもしれない。それがすごく許せないと思わないか?」


真剣な表情のままそう言う城に、俺は瞬きを繰り返した。


「俺だって彼女ほしいさ! 仲良くしたいさ! なぁ、そうだろ良真!」


突然大きな声を出し始める城。


どうやら事件の事よりも色恋沙汰の方が気になっているらしい。


俺は大きくため息を吐き出した。


そして現場に着くまでの間、城は延々と男女の恋愛について語っていたのだった。