強く首をふるものだから、たるんだ頬の肉と皮がブルブルと揺れた。


どちらかと言えば祖母は肥満体形だ。


「どうして?」


「どうしてもだよ」


祖母は固くなに口を閉ざす。


これも、いつもの事だった。


嬉しそうに椿森の事を話すけれど、その理由は全く教えてくれないのだ。


まぁ、別にいいけれど。


ちょっとした話し相手を1時間ほど続けた俺たちは、椿ホームを後にした。


帰りの車の中、父親が運転している助手席で、母親が「おばあちゃん、もう長くないかもね」と、呟いた。


俺は窓の外から景色を見ながら思う。


75歳で死ぬのは、少し早いよな……。