「…ああ、まあ…そんなところだ」
「そんなところだって、あの女嫌いのシオンが珍しいね」
ニコニコと笑うアーディを見たシオンは不機嫌そうな顔をして「別にそういうんじゃない」と言った。
「それよりこれを」
シオンは手に持っていた紙袋を差し出した。
「改装祝いだ。この前仕事先で見かけてな。珍しい植物の実だそうだ。店主は今忙しそうだからお前が渡しておいてくれ」
「ありがとう」とアーディはそれを受け取ると微笑んだ。
「君が来てくれたと知ったらリュートさんもとっても喜ぶよ。後で挨拶してあげて」
「ああ」
シオンも仄かに微笑み返す。
その表情はどこか暖かくて思わず魅入っていると、リルはシオンの後ろに現れた男性が持っている花束に目が移った。
真っ赤な花でいっぱいの花束を抱えた男性が歩いて行く。その口元は僅かに上がっているけれど、リルにはそれがなぜだか少し不気味に思えた。
「どうしたの?」
アーディに問われてリルは「何でもない」と首を横に振る。
「あの男性が持っている花束が、すごく鮮やかなだなと思って」
するとアーディとシオンは顔を見合わせて表情を固くした。そして眉間に皺を寄せて男性を注意深く睨みつけるようにして視線を向ける。
「あの人…」
「知っているの?」
リルの問いにアーディは頷いた。
「そんなところだって、あの女嫌いのシオンが珍しいね」
ニコニコと笑うアーディを見たシオンは不機嫌そうな顔をして「別にそういうんじゃない」と言った。
「それよりこれを」
シオンは手に持っていた紙袋を差し出した。
「改装祝いだ。この前仕事先で見かけてな。珍しい植物の実だそうだ。店主は今忙しそうだからお前が渡しておいてくれ」
「ありがとう」とアーディはそれを受け取ると微笑んだ。
「君が来てくれたと知ったらリュートさんもとっても喜ぶよ。後で挨拶してあげて」
「ああ」
シオンも仄かに微笑み返す。
その表情はどこか暖かくて思わず魅入っていると、リルはシオンの後ろに現れた男性が持っている花束に目が移った。
真っ赤な花でいっぱいの花束を抱えた男性が歩いて行く。その口元は僅かに上がっているけれど、リルにはそれがなぜだか少し不気味に思えた。
「どうしたの?」
アーディに問われてリルは「何でもない」と首を横に振る。
「あの男性が持っている花束が、すごく鮮やかなだなと思って」
するとアーディとシオンは顔を見合わせて表情を固くした。そして眉間に皺を寄せて男性を注意深く睨みつけるようにして視線を向ける。
「あの人…」
「知っているの?」
リルの問いにアーディは頷いた。