ケータイ小説 野いちご

花舞う街のリトル・クラウン

いくら歩き回っても雨は止まない。それどころかさらに激しさを増していく。

雨はそれを防ぐ手立てのないリルに容赦なく降り注ぎ、濡れた服はその体温を簡単に奪う。

エトメリアが咲くこの季節は日が暮れると気温は一気に下がる。雨に濡れているせいもあって、指先はすでに悴んでいた。

空腹と体温の低下でリルの足取りは覚束なくなっていき、視界も徐々に不明瞭になっていく。

ふと顔を上げるとぼんやりとした視界の中に橙色の穏やかな明かりが見えた。どうやら民家か店らしい。

仕方がない、雨宿りさせてもらおう。

一歩踏み出そうとするとリルの体からみるみる力が抜けていく。

視界がどんどん地面に近づいていく。

ああ、このままでは転んでしまう、そう分かっていても踏ん張れる力は残っていない。

何もできないままリルは道に倒れ込んでしまった。

起き上がろうにも力が入らず、指一本すらも動かない。

意識が遠のいて、リルはそのまま目を閉じた。




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