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お母さんに連れられてきたのは街から離れた場所にある墓地だった。


綺麗に掃除されている墓地は小さな花が沢山咲いている。


その中に、彰の眠っているお墓があった。


12年前、事故に遭って亡くなった彰。


その後闇丘祭りで丘の上に連れて行かれ、きっととても寂しかったのだろう。


彰は自分の体が死んでしまっていることに気が付かず、あそこまで帰って来たのだ。


家に辿りつくまで、あと少しだったのに……。


考えると自然と涙が出て来た。


あたしはお墓を掃除し、花を添えて、手を合わせた。


お母さんは終始涙をこぼしていた。


この中で一番罪悪感に駆られているのは、きっとお母さんだろう。


「彰、今まで忘れててごめんね。あたしたち、ずっと彰の友達だよ」


「彰。どうか親たちを、街の人たちを怨まないでやってほしい。みんな闇丘祭りのことを反省してる。もう二度とあんな事は起こらないから」


その時、暖かな風が吹いて、あたしたちの頭上にピンク色の花ビラを運んできたのだった。