「手伝います!」


B組の先生がすぐに駆け寄る。


あたしはその光景を唖然としてみつめていた。


松田彰(マツダ アキラ)は、あたしや渉と同じ小学校だった。


ただ、あたしたちのグループに入らなかったからあまり会話はなかったけれど、幼馴染の1人に違いないのだ。


「彰君、朝から調子が悪そうだったんだよね。熱があるけど、小テストがあるから来たって言ってるの聞こえて来たし」


理子が言う。


あたしたちとまるで同じだ。


大人2人がかりで保健室へと連れられて行く彰を見送り、あたしは渉を見た。


そう言えばあたしの熱っぽさはもうすっかりなくなっている。


あたしはこの時、そう気が付いたのだった。