「え……?」


渉も一瞬そんな声をだし、そのまま固まってしまった。


事態を飲みこめずにいるのはみんな同じだった。


「あなたたち、来てくれたのね」


椅子に座っていた和夫のお母さんが立ちあがってそう言った。


その目は真っ赤に充血し、頬には涙の痕がクッキリと残っていた。


さっき電話で発狂していたとは思えないくらい、今は冷静だった。


「これ、どういう事ですか?」


そう言ったのは翔太だった。


翔太は首を傾げている。


和夫のお母さんは目を伏せて、左右に首を振った。


「ダメだったの」


涙で掠れた声。


ダメってなにが?


和夫のなにがダメだったの?