由羅の両手は、真っ赤な血に染まっていた。

常人ならば、目を背けたくなるほどの夥しい血の量。


しかし、幼い頃から殺しを教わっていた由羅には、それは日常的な光景に過ぎなかった。


手を水で洗えば、水がつくことと同じように、ただそれが血に変わっただけのこと。



数日後。


「はい、どうぞっ」

「わー!ありがとう、お姉ちゃん‼︎」


市は大事そうに、由羅から手渡された着物を抱きしめる。