「いいのっ!?」


「いいよ。何がしたい?」


「サッカーしたい!!」


「よし、じゃあ近くの広場まで行こう」


「ほんとにっ!?」


「ああ、ほんとだ」


テルさんと一緒にいる時だけは、僕も無邪気な子供でいられたのかもしれない。


テルさんの前でだけは、素直な自分が見せられた。


自分の居場所が、あるような気がしたんだ。




将来の夢なんてものが、誰にでも平等にあると思っていたあの頃。


これは、テルさんやお兄ちゃんが、将来あの黒い服を着たオトナたちと同じ"職業"に就くことが、この時すでに決まっていたなんて知らなかった頃の、お話───