「スマホを使うのは1日1時間にとどめた方がいい」


「もう! うるさいな!」


あたしはそう怒鳴り、お兄ちゃんにクッションを投げつけた。


「ほっといてよ、パソコンオタク!!」


そう言うと、お兄ちゃんは諦めたようにリビングを出て行ったのだった。


ようやく邪魔者がいなくなり、笑顔になる。


さぁ、今日の颯は何をしているのかな?


カメラを起動すると、ちょうど颯が部屋に入ってくる様子が映し出された。


手には学生鞄を持っていて、今帰ってきたところだとわかる。


颯は画面の中にいてもやっぱりカッコよくて、思わず見とれてしまう。


颯は鞄を床に置き、制服の上着をぬぐとそのままベッドに寝転がった。


今日、たしか3年生は合同体育の授業で長距離走を走らされたんだっけ。


だから相当疲れているみたいだ。


ベッドに横になった颯はそのまま目を閉じ、眠り始めてしまった。


あたしは颯の寝顔に愛しさを感じる。


「おやすみなさい……」


画面へ向かってそう呟き、あたしはアプリを閉じたのだった。