あたしは何度か颯の部屋に行った事がある。


そこへ監視カメラを仕掛けるというのは、すごく不思議な気分だ。


あたしはどんな事があっても颯と一緒にいる自信はあった。


颯のどんな姿を見ても、別れる事はあり得ない。


あたしは立ち上がり、クローセットを開けた。


クローゼットの壁には拡大した颯の写真が貼られている。


あたしは写真に頬ずりをした。


そして、服で隠すように並べてられているアルバムを引っ張り出した。


アルバムの中の颯は怒っていたり、困っていたり、笑っていたり、眠っていたり。


様々な顔を見せている。


その1つ1つにキスをしていくあたし。


あたしは今までにもこれほどまで颯をレンズに収めて来たのだ。


颯のいかなる顔も知っている。


静止画が動画に変わるだけだ。


そこに何が写っていてもきっとあたしは……「大丈夫」そう呟き、あたしはニヤリと笑ったのだった。