「いったぁ……」


勢いよく立ち上がると、頭痛がして足元がふらついた。



なんだろ、風邪かなぁ……。

頭もぼーっとするし。


昨日、布団ちゃんと掛けてなかったのかな。


これから鼻水とかでるのかなぁ、やだなぁ…なんて、少しフラフラしながらトイレを出ると。



「……ん?……んん?」


あたしの目に映ったのは、異様な光景だった。



トイレから続く通路の少し先に見えるホール内を、逃げ惑う人たちの姿。


目がチカチカするようなネオンは消え、お腹にまで響いていた重低音もぴたりと止んでいた。



代わりに聞こえるのは、みんなの叫び声。