ケータイ小説 野いちご

妖の王子さま




そんな風に言われたことは初めてだった。
蒼子は、言葉を失い呆然といずなを見つめていた。



「まぁ、仕方ないからな。礼は言っておいてやる」

「・・・っ」

「・・・なぜ泣く?」




いずなが怪訝そうな顔で尋ねる。
いつの間にか、蒼子はハラハラと涙を落としていた。
いずなの指摘で気づいた蒼子は慌ててほおに手を添える。





「なんで・・・」

「めんどくさい女だな、お前は」

「み、見ないで・・・っ」




顔を俯かせ顔を隠す蒼子。




「俺に指図するな。お前の姿を見るか見んかは自分で決める」

「・・・や・・・」

「ほら、見せてみろ」





蒼子の顎をくいっとあげまじまじとその顔を見つめるいずなに、蒼子は視線をそらす。





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