でも、助けてもらった立場で文句なんて言えないし。




あたしは黙って生温い水を飲んだ。





それにしても、食堂だというのに、暑い。




直射日光じゃない分、外よりはマシだけど、むっとした熱気が籠っている。






クーラーないの?



そう思って首を巡らせると、天井にも壁にもエアコンは付いていなかった。





うそ、今時エアコンないとか………信じられない。




せめて、扇風機………。




視線を走らせると、あたしが腰かけている座敷の端っこに一台の扇風機を見つけた。




ずいぶん年季の入った、古くさい形。




なぜか羽根は………金属?




それに、埃をかぶっているような。





「あぁ、扇風機?」





ツルさんがあたしの視線に気づいたのか、眉を上げて声をかけてきた。






「ごめんねぇ、暑いよね。

でも、あの扇風機、ずいぶん前に壊れちゃってね。

いまは使えないんだよ、ごめんねぇ」





「あ、いえ、そんな」





「これで我慢してちょうだい」






あたしが顔の前で手を振っていると、ツルさんはやけにレトロなうちわを持ってきてくれた。