ケータイ小説 野いちご

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。








「―――えー、そういうわけで、1945年になるとますます戦況は悪化して、日本の劣勢は明らかに………。

全国各地が米軍によって空襲されて焼け野原になり、この町でも一度、終戦間際に大きな空襲が………」



社会教師のヤマダが野太い声で喋りながら、かつかつと音を立てて黒板に何かを書くのを横目に、あたしは全く別のことを考えていた。



―――なんで、こんなにイライラするんだろう?


自分でも理解できないくらい、あたしは毎日毎日、とにかくイライラしている。



口うるさく小言ばかり言ってくる親も、熱気のこもった暑苦しい教室も、教壇で偉そうにしゃべっている先生も、クラスメイトがかりかりと板書を書き写す音も。

全部ムカつく。

なにもかもがあたしをイラつかせる。


あたしは苛立ちを隠しもせずに、きつく眉を寄せ、頬杖をついて窓の外に顔を向けていた。


もちろん教科書もノートも開いていないし、そもそも筆記用具さえ机の上に出していない。


だって、勉強は好きじゃないし、その中でも歴史の授業はいちばん嫌いだ。

何十年も何百年も昔のことなんか勉強して、いったい何になるっていうわけ?


あたしは高校に行きたいとも思っていないし、テストの成績もどうだっていい。

そんなの下らない。

だから、勉強なんか必要ない。


あたしは学校が大嫌いだ。

こんなに息苦しい場所って、他にある?

本当はこんなところ来たくないけど、来ないと親や教師からごちゃごちゃ言われてうざったいから、仕方なく来てるだけ。



窓の外では、蝉の声がうるさい。

まるで鳴き声で世界を黒く塗りつぶそうとしているみたいだ。



ああもう、どこを見ていてもイライラする―――。





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