ナイロン袋で手が滑り、浴槽の中へ下り落としてしまいそうになりながらも、なんとか竜季に電話を入れる。


【もしもし?】


すぐに竜季が出てくれてあたしは叫ぶように言葉を紡いだ。


【竜季、やっぱり誰かいる! 助けて!】


【すぐに行く。危ないかもしれないから風呂から動くなよ】


それだけ言うと電話は切られた。


そしてあたしは昨日は感じなかった息苦しさと、肌寒さに自分の体を抱きしめた。


お風呂のお湯はまだ冷めていないし、肩まで身をつけてもまるで真冬のように寒い。


「どうして……」


まるで自分の体だけが別の場所にあるような感覚だ。