何かあったのかな……。
思いながら、問いかけなかったのは、すぐに笑顔を向けられたから。
恋人同士は恋人同士で、考えることとか増えるんだろうか。
片想いから一歩も進んでいないあたしには、まだ想像も出来ない世界。
いつかなれるのかな……?
あたしも、朝日と恋人に。
考えてみたけど、上手く想像出来なくて、目の前の空を見上げた。
夕焼け色、オレンジに染まる雲。
“綺麗”よりも先に、“美味しそう”と思ってしまったあたしは、やっぱり女子失格かもしれない。
でも、初恋のイメージは綿あめだから。
ふわふわで、溶けるように……甘い。
「やっぱ塩味はないよねぇ……」
空に向かって呟いたあたし。
でも、充分にあり得たんだ。
初恋の甘い綿あめが、
しょっぱい涙味に変わる可能性。