「——あら、また大胆なことするのね」



学校にて。


私は昨日のことをみっちゃんに話した。





「……もう、突然すぎるよ…」





机に突っ伏して私は唸る。

昨日あれから中々寝れなかったし。



弟としてからかい半分でキスしてきたのは分かるよ?


だから刹は、私にしたキスなんてどうとも思ってなくて…。



私だけこんなにドキドキしてるのは悔しいんだ。




「比乃はさ、刹くんの気持ち考えた?」





ガバッと体を起こすと、みっちゃんは片肘を付いて私を見つめていた。




「…刹の気持ち?」


「なんで刹くんがキスしたとか、なんであんなこと言ったんだろとか」


「……考えたよ」




その小さく言った私の言葉に、みっちゃんは「えっ」と驚いた顔をした。





「……私が姉だから、全部からかってたんでしょ…?」





私の言葉を聞いたみっちゃんは大きな溜息をついて、呆れたようにこちらを見た。




「ちょっと刹くんがかわいそうに思えてきた」


「えぇ!?なんで!?」


「比乃って少女漫画とか読まないの?」




しょ、少女漫画??


そういえば、中学入る頃には読まなくなってたなぁ…。




「読んでない」


「ちょっと刹くんの為にも、あんたに少女漫画貸すから読みなさい」




そう言ったみっちゃんは、鞄からドサッと何冊かの少女漫画を取り出した。


え。

なんで今持ってるの?





「こんなこともあろうかと、持って来てたのよ」





元々貸す気満々だったのかもしれない。