な……。
「……またからかってるでしょ」
「あったりまえー」
もおおーーーーーー!!!
一瞬でも本気にした自分が馬鹿みたい!!
「うわー顔赤いー」
引くわーなんて言いながら刹はケラケラと笑う。
「馬鹿!だって男の子に好きとか言われたことないんだもん!」
そう私が言うと、刹は笑うのをぴたりと止めた。
そして少し間を開けて、
「……ブスだもんな(笑)」
「ほんとやだ!!」
ケラケラからかうように笑う刹。
もう知らない!
と、私は扉を開こうとドアノブに手を掛けた。
がしかし。
「比乃って面白いなー」
そう呑気な声を出したかと思えば、刹はすぐさま立ち上がって私を後ろから抱き上げた。
え、ちょっと!?
何してるの!?
「こ、こら!下ろして!」
「わーー」
刹は私を抱き上げたままくるくる回ったり、屋上内をふらふら歩いたりする。
状況がいまいち掴めない私は、とりあえず下ろしてとしか言えなかった。
「せ、刹っ」
「比乃ー」
ま、待って。
これ誰!?
なんかいつもの刹じゃない!?
しかしケラケラと笑い続けるこの刹は、いつもの刹に違いなかった。
「下ろしてって言ってるでしょ!」
「……んだよ、つまんねーのかよ」
と拗ねた子供のような声が聞こえたかと思えば、刹は私を下ろしてくれた。
「……えらくご機嫌だね」
制服を整えながら刹を見ると、刹はあくびをした。
「なんでだろうなー」
刹はそう言いながら仰向けに寝そべる。
「おやすみ」
「え、寝るの?」
「比乃も?」
「いや私は教室戻るから!」
とっくにチャイムは鳴っちゃってるけど。
「ふーん。じゃあな」
今度は止める気はなさそうだった。
私は刹を残して屋上から出ようと、ドアノブを掴む。
…………うっ……。