「美雪ちゃん。ほら、早く起きて。学校に行く準備をしなきゃいけない時間よ」








……誰?


確か私は、「赤い人」に殺されて……だったら、私の部屋のベッドで寝てるはずだよね?


こんな起こされ方をした事がない私は、その声に目を開けた。


「携帯を握ったまま寝ちゃって……アラームがずっと鳴ってるわよ」


そう言って、笑顔でベッドの脇に立っていたのは……お母さんだった。


どうしてお母さんが私を?


あ……そうか、カラダが6つそろったから、「昨日」が少し変化したんだ。


それにしても……この変化は、私にとっては少しなんてものじゃない。


まったくの別世界に思える。


「どうしたの?いつまでも横になってないで、早く支度なさい。朝御飯は美雪ちゃんの好きなハムエッグでいいかしら?」


「え……あ、うん」


鳴り続ける携帯電話のアラームを止め、上体を起こした。


高校に入ってから、口も聞いてくれなかったお母さんが、まるで別人のようだ。


「なんか……気持ち悪いな」


今日は高広にききたい事がいくつかあるのに……それも忘れてしまいそうな程の違和感に、背中がかゆくなった。